うめだファティリティークリニック
培養室兼医療安全対策室の山本です
昨日付けのニュースで京都市西京区の産婦人科病院が
凍結胚を紛失したことがニュースに上がっています
各報道や当事者の方のツイッターを拝見したのみで
実際双方の言い分を聞いたわけではないので詳細について明言はできませんが
要するに胚を凍結保存する際にストロー状の容器「クライオトップ」に
胚がきちんと凍結・収容できておらず
移植の際に紛失が発覚
それを患者さんに伝える際、患者さんが納得いく説明をせず謝罪もせず
口外しないよう覚書まで書かせようとした
患者さんは気分を害し法的措置も視野に入れている
かなりざっくりですがこんなところでしょうか
まず、胚を融かしたら無くなっていたということは
私もほとんど見たことがないですし滅多にないことですしあってはならない事ですが
絶対に起こりえないわけではありません
もし紛失するようなことがあれば
ひたすら謝罪し説明し誠意をお見せするしかありません
原因を調査中とのことですが
胚の紛失が培養士の技術不足なのか
その他物理的に技術者の力ではどうにもならない力が非常に低い確率で働いたのか
(例えば正確に手順は踏んだが液体窒素に入れた瞬間に胚がどこかへ行くなど)
それは調査では通常わかりません
このような時に一番大切なのはクリニックの保身ではなく
患者さんのお気持ちではないでしょうか
移植するまでに移植の為だけに通院もされていたはず
グレードはわかりませんが患者さんにとってはかけがえのない胚だったはず
きっちりと説明をすればわかっていただけたのではないでしょうか
当院の場合は
胚の都合で移植が中止となってしまった場合は
医師や培養士からご説明がございます
またそのような場合は胚融解代・移植代ともに頂いておりません
胚が死亡していたなど移植できない状態だった場合は
追加融解を行い移植の実施を優先いたします