うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

皆様からお預かりしている胚や精子は

凍結され液体窒素で満たされているタンクに入っています

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液体窒素中の温度は-196℃です

沸点が-196℃なので空気中でそれ以上の温度にはなりません

水(お湯)が100度以上にならないのと同じ原理です

 

-196℃は細菌を含む生命体が生命活動を維持できない環境とされています

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液体窒素を介しての感染例は

過去色々調べ聞いて回ったことがありましたが

少なくとも私の調べでは見当たりませんでした

 

とはいえ

液体窒素中への水成分の混入は避けられません

空気中で空気が冷やされ霜となってどうしてもわずかに混入します

それが何年も経って蓄積したら水(氷)成分が底にたまります

直接肺に水成分が触れる構造ではないので

これ自体が感染の原因になる事はないと思われますが

胚培養士としてはやはり衛生上気にはなります

 

当院からも参加していた卵子学会にて

凍結タンクの清掃を実施した施設からの報告があったようです

恐らく今回発表された施設さんだけでなく

どこの施設でもタンクの内部清掃については気になっている事と思います

 

タンクを掃除するには多くの課題を乗り越えねばなりません

中の胚を別のタンクに移し替えて

ひっくり返して掃除しなければなりません

 

それをするには

胚一時保管用のタンクも

清掃用に必要な大量の液体窒素も

もちろんそれによる人手も時間も費用も必要です

 

それ故に

実際に清掃を行ったことがある施設さんは

全国的に見れば少ないかと思います

(掃除したことが学会発表されるくらいですから…)

 

当院としましては

液体窒素中は安全であるとされていたとしても

上記の学会報告を受け

タンクの清掃を行う計画を立てています

 

幾分手間はかかりますが

安全面に最大限の配慮を行い

皆さんがより安心して胚をお預けいただけるようになればと思います