うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

採卵当日や翌日に

顕微授精をするのに精子が足りますか?(足りましたか?)

と、ご質問を頂く場合があります

 

顕微授精は卵子の数だけ精子があれば実施可能です

5個の卵子なら5個の精子、10個の卵子なら10個の精子があれば可能です

実際は動きや形が良いものを選びたいので

多いに越したことはないのですが

理論上は卵子数と同数が確保できれば施行可能な技術です

 

通常、射出精液の中に運動精子が数千万から数億個含まれています

所見が良くない方でこれ未満の場合であっても

たいていの場合は問題なく実施できます

 

今まで顕微授精中に

射出精液の運動精子が少なくて足りなくなり

残りが実際に卵子凍結に至ったケースは

私の記憶の限りではありません

あったとしても非常にレアケースであると思います

(このことについての詳細は話が長くなりそうなので別日に書こうと思います)

 

しかし

精子が全くいなかった場合は顕微授精そのものが出来ません

「射出精液中に精子が全くいなかった」

「採卵当日に精液が出なかった」

その他何らかの理由で採卵当日に精子が用意できなかった場合は

顕微授精が出来ません

 

その場合は得られた卵子は凍結を行い受精は延期となります

数は少ないですがこの事例は過去に実際にあります

事前に精液検査を行う、精子を凍結しておくなどして

採卵当日に精子がないということのないように

ご注意いただきたいと思います

 

また、精巣内の精子(TESE手術で採取した精子)を使用する場合も

精子が足りなくなる可能性はあります

取れた精子数が少ない上に

残り本数が少ない場合などがこれに当たりますが

TESE精子の状況は個々に異なりますので

疑問点がある場合は医師や培養士へご確認ください