うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
前回に続き今回の学会についての感想・私見です
私たち培養士は精液所見を毎日のように目にしますが
それは不妊治療施設に来られた方の精液であるという背景があります
患者さんに「精液所見の平均ってどれくらいなのですか」と聞かれたことがありましたが
上記の事情があるので全男性の平均がよくわからないというのが実情です
ご質問があった際のお返事として
1,客観性のあるWHOの基準値
液量1.5ml・濃度1500万・運動率40% を伝える
2,私自身の過去の経験による意見を伝える
のいずれかにとどまっていましたが
前者は値としてかなり低いという点
(WHO基準値がクリアできていても値ギリギリなのであれば一般体外受精は困難と思われる)
後者は一技術者の主観である点
(値によっては培養士間でも良し悪しの意見が分かれてしまう場合がある)
上記を考慮すればほかに参考となる値がないものかと思っていましたが
今回の学会で性交渉により自然に妊娠に至ったカップルの精液所見が紹介されていました
濃度8400万/ml
運動率77%
(中央値)
だそうです
結構いい値ですね
液量は示されていませんでした
確かにこの値でしたらAIHでも一般体外受精でも数値として特に懸念はないように思います
「これより低いと性交渉での妊娠が困難」という指標ではありませんが
上記のような疑問を持たれている方には
一つの参考になるかもしれませんね