うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

 

先日凍結タンクの買い替えを予定していると書きましたが

では胚凍結タンクが古くなり破損して皆様に影響が出るということはあるのでしょうか

 

臨床の現場でタンクが破損し

液体窒素が枯渇して患者さんの胚が全滅したという話は

日本国内では私は聞いたことがないです

 

知らないだけで

どこかで起こっている可能性は否定できませんが

少なくとも公表されているものはないと思います

 

 

 

ではタンクがどうなれば破損するようなことが起こるでしょうか?

 

凍結タンクは外槽と内槽の二重構造になっており

その間の空間が魔法瓶のように高真空状態になっています

外槽は固い金属で出来ており穴をあけるほどの破損が起こるのは

相当な圧力がかからない限りないように思います

 

例えば建物ごと倒壊して鉄筋コンクリートの下敷きになったり

建物の2階や3階から落下するようなことがあれば壊れるかもしれません

外側から壊れる場合はこのレベルの衝撃がない限り

まずありえないと思います

 

 

問題は内側からの破損です 

今回タンクの買い替えに際し調べたところ

経年劣化により内側から破損することは

日本でも数少ないものの起こっているそうです

 

先ほど二重構造と申しましたが

内槽が破損した場合

イメージ的には外槽と内槽の間の空間に液体窒素が流れてしまい

外気の影響を受け急激に液体窒素が蒸発してしまい

内部の温度が維持できず胚に影響が出る

という感じです

 

内槽が破損した場合タンクの外側がひどく結露するそうです

なのでタンクが結露していないか確認していれば

もし内側からの破損が起こった場合でも

胚を急いで入れ替えればレスキュー出来るわけです

 

先ほど申しました日本で起こったケースでは

結露に気づき

急いで中身を別のタンクへ移動したそうです

 

当院でもタンクの様子は毎日チェックしているので

そのような事が起こればすぐに気づきます

 

では今回の買い替えも必要ないのでは?

とも考えられますが

 

1,結露に気づいた際、胚の入れ替え先のスペース確保に時間がかかる

2,結露してから最速で6時間程度で液体窒素が枯渇するとの情報がある

 

上記2点を危惧し買い換えることと致しました

 明日からはタンク更新の様子をお送りしたいと思います