うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

ヒトの卵子には透明帯という卵の殻に相当する膜が存在します

受精卵はこの膜に守られながら成長し

子宮内で膜を破り中身だけが着床します

 

 

体外受精においては

何かの拍子でこの透明帯が取れてしまってないものが存在します

主に顕微授精で確認されますが

一般体外受精の場合でもごくまれにみられます

 

 

この透明帯がない卵子はどうするかというと

顕微授精であり成熟していれば細胞質内に精子を入れて培養します

一般体外受精の場合は精子が入っているかもしれないので

同様に培養します

 

受精や細胞分裂が見られた場合は

基本的に5日~6日まで培養して

もし胚盤胞になれば凍結保存します

 

透明帯がないことを理由に廃棄することはなく

ほとんど他の卵子と同じ様に扱われます

 

 

透明帯がない場合で受精し分割した場合

桑実胚になるまでは細胞同士の接着のみでくっついている状態なので

移動する際に培養液の流れだけで

細胞がバラバラになってしまうことがあります

こうなってしまうともう胚盤胞にはなれません

 

 

余談ですが

ご本人の希望により

過去一度だけ透明帯がない初期胚を凍結したことがあります

(十分にご説明の上でのご希望でした)

細心の注意を払い操作しましたが

融解の際に細胞が1個か2個取れてしまった記憶があります

細胞同士の接着は非常に弱く一度取れたらもうくっつきません

やはり透明帯がない場合は胚盤胞まで育てたほうがいい気がします