うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
時々患者様より「胚盤胞にならなかった胚はどうなるのですか」
と聞かれることがあります
お答えとしましては、廃棄されます
このご質問を頂戴する時は
続けて「胚盤胞になれなかった胚は妊娠する能力が全くないのですか」という
ご質問もよく頂戴します
このご質問に対しては慎重にお答えしています
私は統計学には明るくはないので
あくまで素人の算数のたとえ話ですが
5日目6日目まで培養して胚盤胞になれなかった胚を移植したデータを集めたとして
日本全国で妊娠例がなかった場合は
「国内では0%」と言えると思います
しかし1人でも妊娠例があれば0%とはいえません
そして信頼に足るそのようなデータは存在しません
異なるケースとして
例えば、あくまで例えばですが当院で過去3例そのような症例があったとしましょう
(あるとすればご本人の希望と医師の承諾が必要です。通常は行っておりません。)
その3例で妊娠例がなければ数字的には0%ですが
3例しかなければそれは信頼に足る数字とも言えません
その3例が全て同じ人の症例であった場合は
ほぼ参考にならない数字と言えます
上記を考慮すれば妊娠が「絶対にない」「0%」というのは憚られます
個人的にはデータを総合的に判断して「ほぼ0%です」という表現を用いています
中には「ほんの僅かでも妊娠する可能性があるのであれば凍結してほしい」
というご意見があるかもしれませんが
あくまで「0%とは断言できない」というレベルの議論ですので
0.1%(1000分の1)かもしれませんし0.01%(10000分の1)かもしれませんし
0%の可能性も否定できません
その確率の為に移植の際の時間と労力と費用を費やすことを勧めることができるかと言われますと…
もちろんクリニックや医師の方針にもよると思いますが
通常お勧めはされないと思います
当院では患者さんのご希望を第一に考えておりますので
ご理解の上ご希望があり医師の承諾があれば
状態によっては凍結可能です