うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
患者さん側からも医療機関側からも
「卵子の質」という言葉をよく聞きますが
実際のところ具体的にはどういう意味なのか
今日はそこについて書いていきたいと思います
まず
卵子の質の数値化可能な評価方法は
今の不妊治療業界にはありません
(AMHは卵巣予備能の評価であり卵子の質についての評価ではありません)
では一般的に言われているこの卵子の質とはそもそも何なのか
解釈の差はあると思いますが「卵子の妊娠のしやすさ、能力」を表していると
個人的には思っています
ではこの妊娠のしやすさ、能力とは何かを深堀りすると
「受精する能力と胚盤胞へ到達する能力」だと解釈できます
さらに深堀りすると
「染色体に大きな異常がないかどうか」です
染色体に異常があるとその度合いによりますが
受精しない
受精卵になれても胚盤胞になれない
胚盤胞になっても流産してしまう
という結果となります
卵子は生れる前から体内に存在し
それ以降新たに作られるという事はありません
例えば40歳の方の卵子であれば
いうなればその卵子の年齢も40歳くらいという事になります
運動や食生活などで体年齢のアンチエイジングとともに
卵子の老化にある程度抵抗できるものとは思いますが
卵子の状態については不明確なことが多く
「この方法でどれくらい遅らせることができる」みたいなことは断定できません
少しでも質のいい卵子を得るには
これはよく言われていることですしここでも何度も書いていることですが
世間一般で言われている「健康的な生活」と一緒であり
これを長く続けることです
・太りすぎない痩せすぎない、無理なトレーニングやダイエットもしない
・軽度の運動を日々継続して行う
・食事はバランスよく、暴飲暴食や深酒も厳禁
・睡眠時間を7時間以上確保する
・ストレスをためない、たまっても適度に解消する
・喫煙しない
・体を冷やさない、冷えを放置しない
こんな感じでしょうか
先ほども書きましたように卵子の質はその変化も数値化出来ません
これらのおかげで明確にすぐに結果が出るかというと
そんなこともありません
また、どこまで改善されるかも個人差があります
さらにその後妊娠したとしても
それのおかげかどうかも分かりません
こうして書くとなかなかモチベーションが上がらないかもしれません
しかし、上記のすべて逆を長年やってきている人が
妊娠しにくい体になっていることはデータから見ても明らかです
少しでも妊娠の可能性を挙げたい場合は
治療法の色々を改善するのももちろん有効だとは思いますが
日々の生活の改善で可能性が上がることも少なからず考えられます
日本生殖医学会のホームページにもこの件に関した説明がありますので
ぜひご覧ください
一般社団法人日本生殖医学会|一般のみなさまへ – 生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A):Q24.加齢に伴う卵子の質の低下はどのような影響があるのですか? (jsrm.or.jp)