うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
未来のことで「絶対」と言い切れることがほとんどないように
胚の将来も絶対と言えることはほとんどありません
同様に
患者さんからよく聞かれる「胚盤胞になりそうですか」と言うご質問には
答えられない場合が多いです
そんな中、胚盤胞に「まずならない」「ほぼならない」場合があるので
今日はそのことについて書こうと思います
まず1つ目は
胚が死んでしまってる場合です
死滅する一番多いタイミングは顕微授精後ですが
稀に培養中に死んでいくこともあります
見間違えなどを除き
生物的に死滅した細胞がその後生き返って
しかも順調に成長していくという事は、100%ありません
しかし一部分だけ死滅しているものは胚盤胞にならないとは断言できません
例えば10細胞のうち1つの細胞が死滅しているくらいであれば
胚盤胞へ育つことはあります
次に発育がものすごく遅れている胚です
丸2日分発育が遅れていると、まずなりません
例えばですが5日目の朝で3日目相当の状態ですとほぼ無理だと思われます
遅れているにしても状況によっては可能性はあります
分かりやすい例でいえば
5日目で桑実胚(4日目相当)まで成長しており丸一日遅れているという事であれば
翌日胚盤胞になるという事はあります
3日目の朝までに受精の反応や細胞の分割が見られない場合も
胚盤胞になるのはほぼ無理です
上記の発育が丸2日遅れていても難しいところ
丸2日遅れて受精もしていないようであれば
まず無理と言えるでしょう
発育が停止している胚もかなり厳しいです
24時間停止して細胞分裂がその後再開して胚盤胞になったものは見たことがありますが
48時間止まっているとほぼ無理だと思います
あとはフラグメント(こまかく分かれてしまった細胞)だけで形成されてしまっている胚も
胚盤胞にはまずなれません
ちなみにですが
その逆のものは胚盤胞になる可能性があるとも言えるのですが
非常にきれいで順調に発育している胚でも
胚盤胞直前で発育停止する場合があるので
「ほぼならない」はわかりますが
「なります」はわかりません