うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

前回に引き続き卵子凍結についてです

卵子凍結は昔に比べると件数も増えたと思いますし

環境としてもやりやすくなったと思いますが

まだまだ全体から見れば凍結している方は少ないと思います

(多くの人がやればいいというものでもないとは思います)

 

卵子凍結には大きく分けて二種類あります

卵巣を摘出しなければならなくなった場合など

将来にむけて卵子を温存しておく「医学的適用」と

社会的な理由により卵子凍結しておく「社会的適用」です

 

今日は社会的適用の方で

どんな方が卵子凍結に適しているかについて書こうと思います

適していると言うと少し語弊がありますが

メリットが大きい人や使う可能性が高い人と置き換えるとわかりやすいかもしれません

 

卵子凍結が適している方と言うのは

主に妊娠まで時間が空くことが事前に分かっている方(もしくはその可能性が高い方)です

例えばいつか子供が欲しいけど20代30代は仕事や趣味などに打ち込みたい方

今は子供の事は考えられないけれど将来的には欲しくなるかもしれない方

パートナーが忙しくてしばらく子供が作れる状況でない方なんかも

卵子凍結の恩恵を受けられると思います

 

 

では次にそのような方々が卵子凍結するにはいつがいいか

そのタイミングについても触れておこうと思います

日本生殖医学会の「社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン」

から抜粋させていただくと

「凍結・保存の対象者は成人した女性で

未受精卵子等の採取時の年齢は、40歳以上 は推奨できない

また凍結保存した未受精卵子等の使用時の年齢は、45歳以上は推奨できない」

とあります

 

下限は「成人した女性」とあります

2023年より18歳から成人とされていますが

このガイドラインが作成されたのはそれより前なので20歳を想定していると思われます

18歳で卵子凍結する必要があるかと言われると

医学的適用を除き

個人的にはまだちょっと早いのでは(判断にもう少し時間をかけてもいいのでは)と思います

 

ガイドラインの上限は40歳です

あくまで「推奨できない」というものなので

医師の説明をしっかりと聞いていただいてそれでもなおご希望の場合は

クリニックの医師の判断にゆだねられる部分はあると思います

しかし実際のところ40歳を超えるとやはり

既に卵子自体の年齢が上がってきている→妊娠率や流産率に影響がある

という事を加味すると

学会のガイドラインの内容にうなづける部分もあります

 

データを見ると35歳当たりから

妊娠率や流産率が加速度的に変化していきます

(妊娠率は下がり流産率は上がります)

出産の観点からも35歳以上は高齢出産扱いとなります

時間と気持ちに余裕があるのであれば

35歳までが卵子凍結の一つの目安となるかもしれません