うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

今日は少し胚盤胞についてお話ししようと思います

 

学会やホームページで驚異的な胚盤胞到達率を出しているデータを見ると

少し疑問が生じます

「これって、どこから胚盤胞?」

 

教科書通りに言えば

胚盤胞とは桑実胚の次のステップで空洞が空いてきている

初期胚に比べて大きな胚の状態です

 

では少しでも空洞があれば胚盤胞なのでしょうか?

理屈の上では確かに少しでも空いていれば「ステージ1」の胚盤胞です

しかしこれを凍結可能とするかどうかはクリニックによるのではないでしょうか

 

当院は胚盤胞到達率は約45%ですがこの中に

ステージ1と2は含まれておらず

ステージ1・2まで到達したけれどもそのまま縮んでしまったものは

胚盤胞到達率の数字には含んでおりません

そのまま様子を見て大きくなれば(ステージ3以上になれば)凍結です

 

同じく

胚盤胞になりステージが3~4になった場合でも

細胞の形成がほとんど見られない場合は凍結はせず

胚盤胞到達率には含まれません

 キャプチャ

<当院では凍結しない胚の例(ちょっと極端な例ですが)>

上記のものも胚盤胞到達率に含めば

年度にもよりますが当院の場合到達率50~60%になります

 

初期胚での凍結を行わず全て胚盤胞凍結にしても到達率は上がります

(当院で2段階凍結を行う場合は状態がいい胚を3日目で凍結しています) 

しかし胚盤胞到達率のために無理に胚盤胞への到達をチャレンジすることも

妊娠の可能性が著しく低い胚を凍結することも当院は良しとはしていません

 

当院で凍結する胚盤胞は医師と培養士が選別し

「妊娠の見込みがある」と判断したもののみを凍結しております

我々が思うゴールは「移植」ではなく、「妊娠・出産」なのです

 

凍結胚(移植胚)について不明な点がある場合は

診察時に医師へご相談ください