うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
一般体外受精の場合は
同じ培養液中に卵子と精子を入れて自然に近い状態で受精を期待する方法なので
卵子に精子が入るその瞬間
受精そのものには人の手は加わっていません
言わば卵子が精子を選んでいるような形です
しかし顕微授精は卵子1個1個に人の手技によって針を刺して精子を入れるので
受精そのものに人の手が加わっています
顕微授精に用いる精子は遠心分離機などで濃縮・選別されているので
人が選ぶ段階でもそれなりに選ばれているわけですが
最終的には人の目で選ばれ
受精に用いられることになります
精子を選ぶ際
培養士は精子のどこを見ているかというと
「形」と「動き」です
頭が大きい・尾部が短い・頭部の付け根にゴミのようなものが点いている
これらの形は除外されます
動きが遅い・蛇行している・動いたり止まったりしている
このような動きの精子も除外されます
ある程度顕微授精に慣れた人であれば
形・動きが良好な精子はすぐに見分けられます
余り状態が良くない精子ばかりであったとしても
その中から最もいいものを選んで使用します
しかしここでご注意いただきたいのは
人の目で精子の遺伝子レベルの異常を判別出来るというわけではないのです
受精能力が本当にあるかどうかも形だけではわかりません
もちろん受精そのものが精子だけの力で行われるものではありません
顕微授精時の精子の選別の意味合いとは
「明かに悪いものを避ける」といったところでしょうか