うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
培養士は表に出ることはほとんどありませんが
受精の結果や胚の成長確認で患者様とお話しする機会はあります
その際にご質問をいただくこともあるのですが
頂いたご質問に関して実は明確なお答えのないものも多いので
今日はその一例をご紹介したいと思います
Q,受精しなかったのは卵子のせいですか?精子のせいですか?
これはよく聞かれます
いずれの場合であっても断定することはできません
受精しなかった卵子や精子の所見を見たとしても
どちらに原因があったのかはわかりません
TESEの精子使用の場合なんかは男性側に原因がある可能性は高いですが
その場合でも女性側に受精しなかった原因がないといえる根拠はありません
Q,正常受精であれば遺伝子的に問題ないですか?
見た目で遺伝子的に問題があるかないかは判断できません
胚盤胞であっても同じです
ただし
異常受精に関しては正常受精と比べると遺伝子的に異常な確率は高いので
凍結・移植は行っておりません
Q,今回の受精卵数だったら胚盤胞にはどれくらい到達しますか
凍結できる胚盤胞になる確率は当院では約45パーセントです
たとえば受精卵数が10個得られてすべて胚盤胞へ培養すれば
4個から5個が平均ということになります
しかしこれは全体の平均値ですので
患者様それぞれの方がどれだけ胚盤胞が得られるかは
培養してみないとわかりません
Q,一般体外受精で受精しなかった場合顕微授精なら受精しますか?
やってみないとわかりません
精子が卵子に到達できなかったのであれば顕微授精で受精する可能性はあるかと思います
しかし卵子側に未熟卵が多かった場合などは
顕微授精でも受精数が変わらない場合もあります
Q,得られた卵子は多い方ですか
回収率の点でいえば
見えていた卵胞数の半分から回収できていればいいかと思います
患者様全体から見てご自身が多いか少ないかに関しては
詳しい統計を取ったことがないのでわからないです
たとえ全体の平均や中央値を出したとしても
年齢や卵胞数や刺激法やそのほか既往歴にも差があるので
それらを考慮すればその方が多いか少ないかを正確に判定するのは難しいと思います
また
多くとれたとしてもそこから成熟率と受精率がじきに出るわけですが
そちらに関しても非常に重要です
一通り思いつくのは以上です
わからないことだらけじゃないか!と思われるかもしれませんが
その通りでございます
その理由については科学的に解明されていないなどいろいろあるのですが
長くなるのでまたの機会にしたいと思います