うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

胚盤胞の到達率は当院で4割~5割ほどです

この到達率は凍結できた胚盤胞の数ですので

学会などでは「有効胚盤胞」と表現される事もあります

 

凍結していない胚盤胞も含めると50%以上の到達率となりますが

細胞の数が少ない胚盤胞や

まだ完全に膨らみ切っていない胚盤胞は

当院では妊娠の見込みは低いと考え凍結しておりません

(膨らみ切っていない胚盤胞は様子を見て正常に膨らんだ場合は凍結対象となります)

 

 

さて、その4割~5割と言う数字ですが

これはあくまで平均ですので

例えば胚盤胞に2個しか培養していないのに2個ともなった、と言う方もいらっしゃれば

10個培養したのに1個もならなかったと言う方もいらっしゃいます

10個培養していて10個全て胚盤胞になったと言う方は稀かもしれませんが

8個9個胚盤胞になったと言う方であれば比較的見受けられます

10個培養して平均の確率通りに4個なった方ももちろんいらっしゃいます

 

何が言いたいのかと言いますと

平均と言うのは全て合わせて割った数値であり

患者様によって大きくばらつきがある、という事です

 

 

ここで表題の質問の答えですが

なぜ胚盤胞へいく場合といかない場合があるのか

結論から申し上げますと

はっきりとはわかりません

 

しかし、可能性のお話であれば可能です

 

 

まず、やはり年齢の影響は大きいと思います

これはなかなか断定はできないので

「年齢です」と断定されるケースは少ないかもしれませんが

影響が大きい、とは言えると思います

20代と40代で胚盤胞到達率を比べると

いずれの施設でも20代の方は40代に比べて

率はいいと思います

 

 

卵子と言うのは生まれる前のお腹にいる時から体内に存在しており

今現在排卵している卵もその時に作られたものです

生まれた後に作られたものではありません

例えば35歳の方であれば約35年間お腹の中にあった卵子が

今排卵しているという事です

 

男性の精子はおよそ74日間で新しいものが生産されますので

その点は異なります

(しかし男性の場合精液所見が不良であっただけで自然妊娠は一気に厳しくなります)

 

 

胚盤胞へ到達しないのは 

年令の影響もあるでしょうし

培養環境が合っていない可能性もないとは言い切れません

刺激法によって卵子の質が左右されたり

男性側も生活の乱れが精子に影響(DNAの断片化)が出る事もあります

もちろん複数の要因が絡んでいることも大いにあり得ます

 

 

何にしても「これが胚盤胞へ到達しなかった原因です」

と断定できることは、残念ながら通常はありません