うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
当院には毎日多くの方が人工授精に来られますが
実際どのように精子が処理されているのか
今日はそのことについて触れたいと思います
提出された精液は
ごく少量(約0.01ml)の精液サンプルを検査キットに乗せて分析機械にかけます
残りの大部分を精液の調整液(多くの場合パーコール液と呼ばれます)と試験管のようなものの中に
2層にして遠心分離機にかけます
遠心分離機とは高速で回転する機械で
遠心力により重いものは底の方に
軽いものは上の方に移動します
運動精子は不動精子にくらべ基本的に重たいので
底にたまります
写真は遠心分離後の精液と調整液の写真です
上の白いのがもともとの精液で
運動精子は一番下に落ちています
一番下にぼんやり見えている白いのが精子です
間の透明な液体は精液の調整液です
この調整液は精度が100%というわけではないので
底の精子も100%運動しているわけではありません
経験から言わせていただくと70%~90%程度でしょうか
上の精液部分にも運動精子が全くのゼロというわけではなく
顕微鏡で見ればいくつかは見つかると思います
それでもこの方法により大部分の精子が選別できるので
原精液をそのまま入れるよりも
濃縮した方が効率的であると言えるかと思います