うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

今日は先日患者様より伺った質問について書きたいと思います

 

「人によって培養液の合う合わないってあるのでしょうか?」

 

このご質問の返答はなかなか難しいですし

人によって考えは異なるかもしれません

 

私個人としては

すべての培養液と患者さんの組み合わせに全く違いがないとは思わないですが

違いあったとしても偶然が否定できないわずかな違いの場合が多く

大きな違いが出る人がいても少ない

という意見です

 

実は当院としましても新たに販売開始となった培養液や成績がいいと評判の商品を

過去に検討・使用したことがありましたが

例え異なる培養液で胚を半分ずつに分けて培養したとしても

(例えば受精卵10個の方を5個ずつ別々の培養液で培養したとしても)

差が見られない事がほとんどでした

培養液は各社の競争が激しい商品なので

いずれのメーカーも強い自信をもって出しているようにも思います

それだけに、大きな違いはなかなかでないのでにくいのではないでしょうか

 

患者さんによっては「A培養液よりもB培養液の方が多くの胚盤胞が得られた」

という結果が出ましたが

それが偶然だったのか培養液が合っていたのかどうか、1回~2回の採卵で判断するのは困難です

当院は過去数年にわたり2種使用していた事がありましたが

「この患者さんは明らかにこの培養液の方が良い!」

という方は当時の検討ではいらっしゃいませんでした

 

 学会などで

「A培養液とB培養液ではB培養液の方が良好な成績が出た」

と言った内容の発表も見受けられますが

個人的にはその結果は

「そのクリニックの培養環境にあっていた」と解釈できるもので

「どこのクリニックでもどんな患者さんにも良好な成績が出る」

ということではないのではないかと思っています

(製品を選出するきっかけにはなります)

 

 

当院の最近の培養液の状況としては

5月より全例タイムラプス培養へ移行となった際に

タイムラプス用の培養液に変えています

その時期をまたいだ方は途中で培養液が変わっているはずです

 

近々、当院でも新たな培養液の検討を行う予定がありますので

成績がより良好なものがあれば新たな培養液に変わる可能性はございます