うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

ネットのコラムなどで「AIの発達でなくなる仕事」というのをよく見かけます

培養士は認知度が低いのでそのようなところに載ることはありませんが

実際のところはどうでしょうか?

 

 タイムラプスの台頭により

観察や培養液交換の手間はぐっと減りました

まだ黎明期かもしれませんが胚解析システムももっと進化する事でしょう

日本ではあまり流通していませんが凍結を自動でできる機械も出てきています

 

いずれはもっと広い胚培養空間の中で

ロボットアームが縦横無尽に胚が入った容器を動かし評価し凍結する時代が来るかもしれませんね

 

そうなれば培養士は一見いらないようにも見えますが

上記に書いたAIでなくなる仕事も

厳密には「全くなくなる」ということは果てしなく遠い未来の

それこそSFに出てくるような世界になった時のもので

数十年の間はやはりそれを「管理する人間」や「非常時に監督する人間」が必要になると思います

(ただし仕事に携わる人が減る可能性はありますね)

 

さて、少し話がそれますが培養業界の「それ」がいつなのか気になるところです

システムを組むにはそれ相応の時間とコストと労力がかかることと思います

 

まずは人脈も財力もある大手不妊治療クリニックが企業と提携して

「人のいらない培養室システム」の開発をする必要があります

もしかしたら開発に何億もかかるかもしれないこのシステムに着手する医療法人がいるかどうかから始まりそうですね

システム開発には日本だけでなく海外でもありえるでしょう

もしいたとして、開発が出来たとして

企業が今度はそれを製品化して流通させる必要があります

胚を操作するアームがうっかり胚をなくしてしまった…なんてことは100%ないと言えるような

安全性が高いものが求められるでしょう

中小規模のクリニックも導入できるサイズや価格帯が求められるかもしれません

既存の培養室に置けるのか(工事が出来るのか)も焦点になりそうですね

そうなれば汎用性も求められます

(そこまでして本当に儲けが出るのか怪しくなってきましたね)

 

開発、商品化、流通を経てそれが当たり前の社会になれば

その時初めて培養士がいらなくなるかもしれません

しかしその時には少子化社会、学会ガイドライン改定、培養士資格の整備、別の新技術の流通など

培養業界にとっては別の変化も出てくるでしょうから

別の要因で培養士人口が増減する可能性の方が高いでしょうね