うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
今日は当院でも行っているアシステッドハッチング(以下AHA)についてです
AHAはレーザーで透明帯(ヒトの卵の殻に相当する部分)を薄くしたり穴をあけたりして
卵の細胞部分が外へ出るのを手助けする技術です
AHAについては
「加齢でも胚凍結でも透明帯は固くなるとされている。全症例にAHAすべき」
という意見と
「妊娠できる卵はAHAしなくてもちゃんと出てくるはず。
AHAやってもやらなくても妊娠率変わらないからウチはやってません」
という相反する意見を聞くように思います
そもそもAHAの成績比較をすることは出来るでしょうか?
AHAして細胞が出てきた場合AHAしたから細胞が出たのか
それともAHAしなくても元々出ることてきたのか
少なくとも全く同じ条件で比較する事はできません
また、全く同じ条件の人に移植して違いはAHAの有無だけにして比較する事も不可能です
それだけにこの論争には終止符を打つのが難しいのです
(AHAの有無と妊娠の有無を関連させて数字で出されていることはよく見ますが
たとえ膨大なデータ量であっても個人に対しての効果の有無を明確にすることは困難)
AHAは飛躍的に妊娠率を向上させる技術ではないのは確かですが
透明帯が明らかに分厚い人もいれば
中には透明帯が黒っぽい胚なんかもあるので
「全員に等しく飛躍的に効果があるものではないが、脱出の面で幾分効果がある人もいると考えられる」
というのが個人的見解です