うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
一昨日大阪ARTカンファレンスについて書きましたが
培養関連の演題として培養液の細菌感染についてのものがありました
当院の細菌感染については以前書きましたが
発表されていたクリニックでは約0.1%(1000件に1件)の確率で起こっていたとの事
注目したい点が3つあります
①細菌感染件数は採卵件数に比例するものであり採卵件数が多ければ多いほど
感染件数を0にすることが困難となる(発表クリニックは採卵件数が多い)
②菌種は主に大腸菌・肺炎桿菌・カンジダなどであり
培養液含有の抗生物質(ゲンタマイシン)では繁殖を抑えられない
③採卵時や採精時にご本人由来で混入するケースが多い
(培養室内の衛生管理が徹底されていたとしても防げないケースがある)
採卵時に防ぐのは難しいですが
採精時に防ぐ手立てとして、採精前に手洗いをきちんとする事が大切との事でした
(しかしアルコール消毒は精子に悪影響を及ぼす可能性があるので避けた方がよい)
菌種にもよりますが一般的には培養液が細菌感染を起こすと胚は死滅します
壊滅的な事態を防ぐためにも
施設としては採精前の手洗いを勧める必要がありそうですね