うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
の続きです
今日は
なぜクリニックにより付けるグレードに差が出てしまう場合があるのか
についてです
ヴィーク分類は5段階評価
ガードナー分類は部位ごとに3段階評価
<初期胚評価に用いるヴィーク分類>
<胚盤胞評価に用いるガードナー分類>
この評価基準ではグレードの間の胚が出てきてしまう可能性があるのです
言うなればヴィーク分類グレード1.5のような胚があると言うことです
それに対しクリニックによって判断が分かれてしまう可能性があります
また、長きにわたって評価をつけていると
個人レベルで評価がやや厳しめに振れてしまったり
逆に甘めに振れてしまうことも考えられます
先程のグレード1.5を毎回1にしたり、もしくは2にしたり
クリニックによって分かれてしまうことがあるということです
顕微鏡の機種によっても細胞が密に見える粗に見える差があります
クリニックの顕微鏡の設定やクセによっても見え方は色々です
同じ人が同じ胚を見ても
顕微鏡が変わればもしかしたら違うグレードを付ける可能性もあります
ぱっと思いつくだけでもこれだけの要因があります
大きく変わる可能性は低くても
グレード1個分の差が出てしまう事は大いにあり得ますね
それを実感するのが学会や移送で運ばれてきた胚です
学会会場の大きなモニターで「このグレードBBの胚盤胞を~」
と言われて出てきた胚の写真がずいぶん細胞数が少ないものだと
当院とは付け方が違うのだなぁ…と感じます
また胚移送の際でも実際融解してみて「うーん…」
なんてこともあります
(当院では混乱を避けるために基本的に移送元のグレードで示しております)
ではグレードに正解はあるのか?
現段階で絶対的な正解を示すことは困難です
多数派を正解と見なすのが関の山です
グレードはあくまでそのクリニックの培養士が評価した目安であり
絶対的なものではないのです
「それならグレードをつける意味があんまりないんじゃない?」
と思われるかもしれませんが
今回のお話はあくまでクリニック間での「誤差の範囲」のお話です
一般的なグレード1の胚をグレード4や5にまで厳しく見るクリニックは
恐らくないと思います
当院では培養士の主観だけでなく
当院が導入しているEevaにより
胚解析システムによる客観的な評価も行っております
(希望者に限ります・別途費用が発生いたします)
長くなりますが次回は
当院のグレードの付け方が厳しいか甘いかについて書きます