うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

先日明確なご返答ができないことを集めた記事を書きましたが

今日はそれに類する内容

「出来ない事」の理由の種類についてです

理由は大きく分けて3つあります

 

「技術的にできない」

現在の医療技術ではまだできないことを指します

たとえば初期胚を移植したとして

子宮の中で胚盤胞になったかどうかは

現在の技術では確認不可能です

子宮内に戻した胚を確認する技術がもうありますよという情報がありましたら

ぜひご教示いただきたいと思います

今私の知る限りではできないはずです

 

他にも

100%受精させる技術も

胚盤胞となることを100%の確率で予想する技術も

今はありませんので技術的にできないことに入ります

 

 

 

「システム的にできない」

現在の技術で可能は可能であっても

それを企業が製品化して不妊治療施設がそのシステムを導入できるようになっていなければ

臨床の現場ではシステム的にできないということになります

 大学・企業・病院などの研究施設で行われる基礎研究で成果が出て

それを企業が製品化して臨床の場(不妊治療クリニックなど)に出てはじめて患者さんが利用できる医療サービスへとつながります

基礎研究が進んでいなかったり製品化(システム化)されていなかったら利用は出来ません

また

可能であっても当院がサービスをご提供できるように導入していなかったら

それもシステム的に「出来ない」という事になります

 

当院では多くのものを取り入れているのでこの例はすぐには思いつかないのですが

後者の例でいえば

卵巣の凍結保存なんかは今現在当院ではシステム的にできないことに含まれると思います

 

 

「倫理的にできない」

医療技術的にできても倫理的にできないものです

代表的な例を挙げますと

代理母は現在日本では倫理的に認められていないので

別の人のお腹で自身の受精卵を育ててほしいなどのご要望は

いくら技術的に可能な事であっても倫理的に出来ないという事になります

他にも胚盤胞が5個できたから一度に戻してほしいなどのご要望も

多胎妊娠の危険性がありますので実施できません

学会のガイドラインにより

移植できる胚の個数は基本的に1度に1個、条件に応じて多くて2個までです

 

倫理と技術については

最近PGTAが倫理的に認められつつある状況です

数年前までは倫理的な観点から実施できませんでしたが

パイロット研究からスタートし

現在は臨床研究に参加する形としてPGTAを利用することが可能となりました

 

 

さらに細分化したり細かい話を挙げるとさらに長くなるので割愛しますが

医療技術は一度に飛躍的にできることが増えるということは

個人的には難しいように思います

 

もしあったとしても

何らかのリスクが発生してしまうのではないでしょうか