うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

今日は受精障害に関してです

受精障害とはその名の通り受精を試みたにもかかわらず受精しないことです

 

この受精障害は一般的に「受精しない事」と定義づけられており

例えばそれが受精率0%のみを指すのか受精率10%は受精障害ではないのか、など

その先の詳細については業界内でも人によって感覚が異なるかもしれません

定義づけていたり根拠や起源を示される医師の方を時々お見受けしますが

広くその定義が知られているかと言われると

正直そのような印象はなく

やはり上記のように「受精しない事」とざっくり表現されている場面をよく目にします

 

 

私個人が思うには

10%しか受精しない(受精率が極度に低率な)方も広義に受精障害に含むという表現については

特に違和感はなく異論ありません

また、精子が十分な一般体外受精で受精しないことはもちろん

年齢や精子などに問題がない顕微授精でも受精しないor低率な場合は

受精障害と表現されるにあたりこちらも特に違和感はありません

 

逆に

卵子が「体外で未熟卵から成熟卵になったもの」が多かったり

精子がTESE精子だった場合なんかは原因がある程度明らかな場合であり

受精障害とはあまり表現しない印象です

原因がほぼわからないが受精しない現象を受精障害という印象です

 

 

一般体外受精に関しては

精子が卵子にたどり着けなかったことが原因で受精障害となる場合もありますが

顕微授精は卵子と精子がたどり着くまでの過程は人の手によってバイパスされている訳ですから

その卵子とその中に入った精子が受精の行程がうまくいかなかったと考えられます

 

受精障害の解決法ですが

一般体外受精の場合は次回顕微授精に変更することによって解決する場合があります

その場合は受精能力は互いにあるが精子が卵子にたどり着けていなかっただけという事になります

 

 

しかし顕微授精の場合は話が変わります

初回で顕微授精で受精しなかった場合は

その周期がたまたま何らかの要因で受精するに至らなかった可能性も否定できません

特に、採卵で取れた卵子の数が少なかった場合は

受精障害と言える現象なのかたまたま受精できない卵子・精子だったのかはわかりません

もし2回目以降も同じ結果が続くようであれば、受精障害である可能性が高まっていると思います

 

 

 

顕微授精の受精障害に対し明確な解決方法を私は知りません

カルシウムイオノフォアをはじめとする受精卵活性化などは技術としてはありますが

受精率が飛躍的に上がるような、先の「明確な解決方法」と表現できる技術とまでは

言えないのが現状だと思います