うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
表題のテーマを取り上げるのは初めてな気がします
このテーマについては不妊治療に関しての特集やコラムなどでも
たびたび取り上げられています
少し暗い印象の話ではありますが
不妊治療というのは全員に明るい未来が必ず待っているものではありません
今回は培養士の目線でこれについて書いていこうと思います
不妊治療をやめる理由として
まずやはり挙げられるのは年齢だと思います
年齢をきっかけに不妊治療をやめられる方はご意見としても実際多いです
「何歳になったら終わりにしようと思っていた」
「何歳になってから結果が思うように出なくなってきたからそろそろやめようと思う」
こういったご意見です
年齢が上がれば
受精率、胚盤胞到達率、妊娠率は下がり
流産率は上がります
何歳からどれだけ下がる(上がる)かは個人差がありますが
概ね35歳から徐々に悪化していき
40歳を超えたくらいから目に見えて厳しくなってくる方が増えてきます
この例と同じように「採卵するのは何回まで」と
決めている方もいらっしゃいます
不妊治療としては「出産」をもって一旦一つのゴールとなりますが
そこから「子育て」がスタートします
最近では学会なんかでも取り上げられていますが
子育てはその後のライフプランにも大きく影響を及ぼします
仮に42歳で出産した場合
子が成人する頃(18歳になる時)にはご本人は60歳となります
年齢的に産んだ後のことを考えてやめられる方も中にはいらっしゃいます
クリニックによっては治療に年齢制限を設けているところもあります
どうしてもそのクリニックでないとダメな理由などがあった場合は
その年齢で治療を終了することになると思います
もちろん年齢制限を設けていない施設も多いですし
当院も設けていません
お金を理由に辞められる方もいらっしゃいます
不妊治療が保険適用になったとはいえ
年令制限がありますしまだ先進医療の部分もあります
もちろん保険適応の対象の方でも無料というわけではないので
経済的にどれだけ負担と感じるかは個人差があると思います
「お金を理由に今回で最後にしようと考えています」
最初から「不妊治療は何回までと決めていました」
と、仰る方は実際いらっしゃいます
培養士との話ではあまり出てきませんが
仕事との両立が難しくて終了される方もいると思います
有給休暇を取るにも限度がありますし
何度も治療出来ない方はいらっしゃると聞きます
(当院では夜の診療も行っておりますので
お仕事忙しい方はこちらもご検討ください)
ほかにもストレスが溜まり
心理的に続けることが困難になった方もいらっしゃると思います
この場合は年齢にもよりますが
少しゆっくりする時間を設けて
気分が落ち着いたら再開することも可能だと思います
培養士とのお話の中で
「いつまで続けたらいいのか…」
「次どうしたらいいのかわからない…」と
ご相談を受ける場合があります
前提として
この場合培養士が医師のような診療行為を行うと医師法違反となってしまいますので
残念ながら今後の具体的な治療のお話などは出来ません
もちろんお話を聞くこと自体は出来ますが
上記のお話で胚培養の情報提供以外のお話に関して
最終的に培養士からのお答えとしては
「医師にご相談いただく」
「パートナーにご相談いただく」
「ご自身でゆっくり考えていただく」
この辺りに収束するように思います
今日は不妊治療の終わりについてのお話でした
妊娠出産が理想的なゴールだとすると
そこに至らなかった場合いつまで続けたらいいのか、と壁に当たってしまう方もいらっしゃるかと思います
培養士として一番思うのは患者様皆様に最も悔いの残らない選択をしていただきたい、という事です
何回まで何歳までと決めるのももちろんいいですし
その都度立ち止まって考えるのも正解だと思います