うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

 

再現性とは、wikipediaより引用しますと

「同一の特性が同一の手法により発現するとき

その結果の一致の近さのことである

言い換えると、実験条件を同じにすれば,

同じ現象や同じ実験が同一の結果を与える場合,再現性があるという」

 

とあります

過去、STAP細胞というものが話題に挙がりましたが

あれは再現性がありませんでした

他の人でも条件さえそろえれば同じ結果が得られなければ

残念ながら技術としては成り立ちません

 

この再現性というものがいかに大事かという話において

「ムペンバ効果」というものがあります

ムペンバ効果 – Wikipedia

お湯と水があってどちらが先に凍るかという質問に対しては

多くの人が「温度が低い水の方が先に凍る」と答えると思います

しかし現実には特定の状況下でお湯の方が先に凍ることがあります

冷たい水よりもお湯の方が早く凍るこの不思議な現象を「ムペンバ効果」といいます

 

このムペンバ効果は再現が難しく、特定の状況下でないと発現しないため

実際のところ数千年単位で「お湯が先に凍ることがあるけどよくわからない」とされており

現象自体に懐疑的な意見が多かったようです

(ここ最近では解析が進んでいるようです)

 

この「同じことができない」つまり「再現性がない」という事は

立証・解析が出来ていない、現実にあるとも言えない

不確かなものである証左となってしまいます

 

 

培養業界で再現性が問われる場面について考えると

市販の培養液や学会発表の内容が挙げられます

 

培養液は今となっては自作するクリニックはほとんどなく

メーカーが作った市販品を買うことがほとんどです

その市販品もいろんなメーカーから出ており

それぞれにアピールポイントがあります

そのアピールポイントが例えば開発段階で胚盤胞到達率が○○%と言われると

それが自院において再現性があるかどうか検討が必要です

環境と言うのは培養室によって千差万別です

わずかな環境の変化によって胚盤胞到達率が左右されるので

クリニック側はそのメーカーのラボで出たその成績が自院で再現性があるかどうか

見極めることになります

 

 

次に学会発表ですが

学会で発表された有益な情報が

自院で再現性のあるものなのかどうかは重要です

同じ機材、同じガス濃度、同じ培養液で同じ技術を行えば

近い成績に収束していくはずです

しかし発表内容の中で技術は有効なものでも

自院にはない環境が作り上げられていた場合は

同じ技術を自院に持ち帰り実施しても

再現性のない技術となってしまいます

(環境が違ってもたまに再現されることはあります)