うめだファティリティークリニック

培養室の山本です

 

今日は凍結についてお話ししようと思います

 

胚の凍結には液体窒素を使用します

液体窒素の中はー196℃になっており室温では沸騰している状態の物質です

バラの花を液体窒素に入れて手でぐしゃっとする実験がありますね

理屈としてはバラの中の水分が凍結して硬くなったからぐしゃっとなるわけです

 

ターミネーター2やスパイダーマンでは敵を凍り付かせるのに活躍していましたね

普段液体窒素を管理している身としては

液体窒素が悪者を退治するのに一役買って喜ばしいことでございます

(実際は劇中ほどすぐに凍りついたりしませんが…)

 

さて少し話が逸れましたが

この胚凍結というのは

SF風に言うとコールドスリープなんですね

 

液体窒素中に入れてー196度を維持すれば

半永久的に凍結した時のままで保存が可能なんです

現代の技術でも胚の大きさであればコールドスリープは可能なんです

 

では人の肉体ではできないのか?

人では細胞があまりにも多く体全体の機能も多種多様なので

胚と同じ理屈ではコールドスリープはできないのです

難病の人を数百年後まで眠らせておいて

目覚めた時代の発展した医療で完治を…

というのはまだまだ遠い未来の話ですね

 

体全部は今は無理ですが卵巣がんの患者さんに対する

卵巣凍結に関しては臨床研究が進められています

(当院では行っておりません)