うめだファティリティークリニック
培養士山本です
表題の件は精子を凍結した際などにご質問をいただきます
まず前提として精子の凍結には大きく分けて3種類あります
(細分化するとまだありますが、わかりやすさ重視の為に今回は3種類とします)
1つ目は採卵当日に男性が出張などで不在になる場合
その採卵の為だけに1本1回分の精子を凍結するケース
2つ目はがん治療の前に精子を凍結保存しておくケース
(がん治療を行うと精子がほぼいなくなります)
3つ目は射出精液に精子がいない場合に行う
精巣内精子採取法(TESE)で得られた精子を組織ごと凍結するケース
1つ目は原則1本1回分の凍結ですが
2つ目の場合は精子の数によって本数が決まります
3つ目の場合は10本を目安に複数本凍結することが多いです
2つ目3つ目のケースでは2本以上にわけて精子を凍結することが多いわけですが
これは本数=顕微授精ができる回数とは厳密には異なります
例えば1本目の凍結精子を融解して
精子が全くいなかった場合や
精子がいても不動精子のみ場合は
追加での融解が必要となります
時には3本以上融かして顕微授精に用いることもあるので
1本=顕微授精1回分とは言えないことになります
また、がん治療の為の凍結精子やTESE精子に関しては
再凍結することも可能です
再凍結は精子の数が減ったり運動率が落ちたりするので
全く同じ条件で再保存できるわけではありません
1本分に入っている精子を全て使い切ってしまった場合も再凍結は出来ません
再凍結を希望された場合は
例えば最初に10本に分けていても再凍結を行って11回以上使用することも一応可能です
再凍結については書き出すと長くなるので
またの機会にでも詳しく書こうと思います