うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
卵子凍結はここ数年で件数が増えています
先日、現在保存中の方から気になるご質問を頂戴しましたのでご紹介いたします
「卵子融解したら、育ててから再度凍結してから子宮に戻すのと
凍結せずに子宮に戻すのとではどう違うのでしょうか?」
答えのわかりやすさを優先するために多少解釈を変えておりますが
概ね上記のような内容のご質問でした
まずは体側(子宮側)の視点で考えて見ましょう
前提としまして
通常、採卵を行った周期に移植をする新鮮胚移植と
一度凍結してから内膜を整えて胚を戻す凍結融解胚移植とでは
体に負担が少ないぶん
後者の方が妊娠率はいいです
当院でもほぼ全例凍結胚移植です
しかし、卵子融解後の移植は
採卵周期には当たらないので
子宮側としては内膜さえ同じように整えれば
融解周期の移植でも再度凍結してから移植しても状況は同じと言えます
胚側としては
凍結による胚へのストレスは凍結液の進化により昔に比べかなり軽減されているので
胚凍結→胚融解で胚が死亡する確率はかなり低いです
再度凍結してもしなくても妊娠率も変わらないと思われます
次にスケジュールについてです
卵子を融かした際
いくつ復活するかはやってみないとわかりません
上記の通り胚融解の場合はほぼ100%戻りますが
卵子融解の場合は胚に比べて復活率がやや劣る印象です
その後、顕微授精を行いますが
いくつ受精するかはこれもやってみないとわかりません
初期胚でいくつ凍結して、いくつ胚盤胞へトライするのか
凍結スケジュールを決めなくてはなりませんが
胚盤胞に何個トライして何個なるのかもわかりません
つまりいつ何個移植するのかは事前に決めるのは非常に難しいと言えます
仮にいつ移植するのか決めておいても
移植可能な胚が得られなければ内膜を整えたことが無駄になってしまいますし
予定をあけていた場合はそれも無駄になりかねません
個人的には卵子融解周期は移植せずに
再度胚の状態で凍結保存しておいて
後でゆっくりいつ戻すのか予定を立てて
移植に臨んだ方が余裕を持てるのではないかと思います
ご注意
上記は一胚培養士としての意見です
移植に関しては医師の診察をお受けいただき
ご判断いただきますようお願いいたします
料金に関しては個数や培養状況により変化がありますので
あえてこの場では触れておりません
個別にお問い合わせください