うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

よく頂くご質問の中で

受精卵の段階でグレードはついているのか、と言うものがあります

 

グレードをつけることが出来るのは

細胞が分割(分裂)を始めてからなので

採卵日を0日目と数えると

2日目の朝以降となります

 

 

採卵当日は成熟しているかどうか、生存しているかどうかのみわかります

成熟卵子の中で良い・悪いの分類は基本的にないとお考えいただいていいと思います

クリニックさんによっては独自に分類(グレーディング)しているところもあるかもしれませんが

一般的に広く成熟卵子の分類は行われていないと考えられます

 

上述したように基本的に分類は行っておりませんが

いくつか着目点はございます

まず朝未成熟だったがお昼~夕方にかけて成熟した卵子は

最初から成熟していた卵子にくらべ受精率はよくありません

この点に関しては多くのクリニックさんが概ね同じ見解であると思います

 

卵細胞の質として

細胞質が顆粒状である(granularity、CLCG)

細胞質に一部丸く透けているところがある(空胞、sERC)

極体が複数個ある(PB multi)

卵子そのものが大きい(2倍体の疑い)

顕微授精の際、膜がすぐ破れる(異常破膜)

 

このあたりはしばしば見られます

 

2倍体疑いは異常受精になりやすいので

施設によってはICSI対象外となる可能性はあると思います

 

他の点に関しては

良い現象とは言えませんが

影響は程度によると思います

 

空胞が非常に多い卵子は

個人的には受精率は落ちる印象ですが

多少ある分には受精率には影響ないと思います

他のものも同様です

 

 

 

ご注意点としまして

当院でも2日目以降の胚にグレードをつけておりますが

グレードはその後の治療の方針にもかかわる事であり

口頭でお伝えする事による行き違いを避けるために

お電話口でグレードお伝えする事はしておりません