うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
先日患者さんとお話ししていると
「初期胚で全て凍結しておいて
後日融かして胚盤胞まで追加で培養して胚盤胞で移植・凍結する事は可能か」
というご質問をお受けしました
お答えとしましては「可能」です
しかし実際のところメリットがあまりないのでお勧めは致しません
では詳しく解説していきたいと思います
まずご質問についての具体例ですが
例えば3日目で凍結可能な初期胚が5個得られたとして
全て凍結しておくとします
そして数か月後に融かして追加で2~3日培養して
胚盤胞になったものを移植、残ったものを凍結するという流れです
まずはデメリットから言いますと
融かした後の培養費用や移植費用などは保険適用外、自費となります
保険適用となった方にとっては通常の培養の流れに比べ支払額が増えます
さらに胚盤胞が得られなかった場合は
内膜を整えるお薬や注射費用が無駄になってしまいます
胚にとっても移植する以外の胚盤胞が得られた場合
胚は「再凍結(2度目の凍結)」となりますので
最初から胚盤胞まで培養したほうが胚への負担も少ないです
メリットとしては
例えば初期胚で何個凍結するか迷ってしまい
3日目までに決断できなかった場合なんかは
一旦凍結しておけばその後ゆっくりどうするか考えることが出来るかもしれません
個人的にはこのメリットしか思いつくものがなく
採卵日までに決めておけば
このメリットもなくなってしまうので
やはりあまりお勧めするものではありません
過去(保険適用前)数年前にお一人だけその様なやり方をされたのを覚えていますが
なぜだったのかははっきりとは覚えていません
確か、初期胚で全て凍結して全て初期胚で戻す予定だったが
初期胚移植でなかなか結果が出なかったので
残り胚盤胞移植をご希望された、といった内容だったかと思います
ただ、このご質問は定期的に頂戴するので
もしかしたらどこかのホームページでこのやり方が掲載されていたり
どこかの施設さんで推奨しているやり方なのかもしれません
私の知らないメリットがもしかしたら何かあるのかもしれませんので
もしそれがあるのであれば話は変わってきそうです