うめだファティリティークリニック

培養室の山本です

 

患者さんから

「今回移植する(凍結する)胚の妊娠率は何パーセントですか?」

とよく聞かれます

 

ご返答としましては

「残念ながら個別の胚の妊娠率についてお答えすることはできません

全体の移植の妊娠率はおおよそ30%です」

としています

 

基本的に治療方針に関わることは

医師からでないと具体的な数字をお伝えすることは出来ないという事もありますが

実は数字の話でもう一つ理由があります

 今日はそのお話です

 

 

例えばですが

39歳 5日目で凍結した4BCの胚を一個移植した場合

妊娠率は何%でしょうか

 

妊娠率とは過去の実績をもとに算出しています

過去同じ条件の人が100症例移植して30症例妊娠したら30%です

 

では今回同じ条件の方は何人いるでしょうか

これがもし15症例だけで妊娠した人が3症例であれば

20%です

 

しかし過去15症例しかないのに

今回の移植では20%の確率で妊娠できると言ってしまっていいのでしょうか?

私はちょっと違うのではないかと思います

 

また別の人の条件を調べて

全く同じ条件で探したら15症例あって妊娠した人がもし0人だったら

そしたら今回の移植の妊娠率は…0%?

これも違いますね

 

さらに言えば上記の15症例という数字

これは15人別々の人が移植したという意味ではありません

同じ人も含め15回移植を行ったという意味です

もし1人の人が39歳の間に同じグレードを何度か移植して残念な結果だったら

それだけでぐっと妊娠率が下がっている場合もあります

逆に妊娠が続くととんでもない高確率での妊娠率が出てしまいます

 

もちろん15というのが少ないのであって

もっとたくさんの統計を取って妊娠率を出したらある程度数字が信頼ある値に収束する事にはなります

しかしよほど老舗の大手さんでない限り

クリニックの過去のデータで 年齢・何日目で凍結したか・胚のグレード

すべての条件が合う人はせいぜい数十症例です

2個移植の場合はグレードの組み合わせが恐ろしく多いのでほとんどいません

 

 

話がややこしくなってしまいしたが

簡潔にいいますと

妊娠率というのはあくまで過去の統計の結果の数字なので

厳密に出すことが難しいものであり

あまり気にしすぎず移植の前後はリラックスして過ごされた方がいいということです

 

ただし医師や培養士が「見込みがない」と言った旨の発言があった場合はご注意下さい

「経験上ほぼ0%である」「数字を出しても恐らく0%」といった意味の場合があります