うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

体外受精の流れとして

顕微授精などの受精操作は採卵当日に行います

受精と言うのは卵子と精子を掛け合わせるものなので

受精させるには卵子だけでなくもちろん精子も必要となります

 

しかし

採卵当日に何らかの理由で精子が得られない場合があります

今回はそのお話です

 

まず

精子が得られないというのはどんなケースがあるかについて

 

・事前の精液検査では精子がいたのに

採卵当日の精液に精子がいなかった場合

 

・ご主人の都合が合わなくなり

当日急遽採精できなくなった場合

(出張先から帰ってこれなくなったなど)

 

・TESE(睾丸から精子を採取する手術)当日には

僅かに精子が見つかったが

顕微授精当日には見つからなかった場合

 

以上のような感じです

では実際「精子がいない」となってしまった場合

どうするかと言いますと

卵子凍結を行い受精させるタイミングをずらす事となります

 

卵子凍結を行って別日に精液(精子)を提出出来た場合

卵子をその日に融かして顕微授精を行うこととなります

 

しかし

3番目のTESE精巣組織内に精子がいなかった(もしくは非常に少なかった)場合で

TESE精子を全てを使い切っても卵子が余ってしまった場合

その場合の卵子凍結は

次回(2回目以降)のTESEを前提とすることになります

もちろん実施については泌尿器科医との診察をしながら決められることですが

TESEは経済的にも肉体的にも負担を強いられるので

患者さんご自身にとって慎重なご判断が必要となります

 

また

融解後の卵子の復活率は

100%ではありません

一般的には胚に比べると低い値です

 

培養士としては精子がいない事による卵子凍結は

出来るだけ避けたいと考えております