うめだファティリティークリニック
培養士の山本です
先日凍結タンクの清掃について書きましたが
今回は実際にそれを実際に行った話です
タンクの清掃については業者さんからも
ご興味ある旨のお声を複数届いております
今回の記事は患者様へご安心いただくためだけでなく
培養業界の方へも今後の参考になればと思い書いています
準備するものは入れ替え時の胚保管用のタンクと
液体窒素を出す発泡スチロールやデュワー瓶くらいですが
液体窒素を一から新しいもの入れるために
液体窒素の納品スケジュールにも気を配らねばなりません
1、まず、タンク内の胚をすべて別のタンクに移し替えます
この段階でタンクが2個以上なければできないのですが
もし1個しかない施設さんは代理店さんなどに相談すれば
業者さんによっては貸してもらえるかもしれません
2、キャニスターを取り出します
キャニスターは綺麗でした
こちらはアルコール消毒して拭きます
3、液体窒素を発泡スチロールやデュワー瓶に出していきます
出した後のタンクは逆さにしておくと
いち早く液体窒素成分を抜くことができます
写真は今回出てきた液体窒素です
向かって右のものが底のほうの液体窒素です
少し灰色がかっているのがお分かりいただけるかと思います
これが先日書いていました水成分を含んだ液体窒素です
(悪影響はありません)
最後のほうは氷の小さな塊がカラカラと出て来ていましたが
そのほかの固形物は出てきませんでした
この出てきた氷の細菌検査を検査会社に依頼しましたが
感染性のある細菌は検出されませんでした
固形物がもし出てくるとしたら
ストロー法で凍結したデバイスを入れた事のあるタンクは
綿栓が出てくる可能性があります
他にもクライオトップのフタやバイアルの蓋など
何かの拍子で取れてしまったものが
出てくることも想定できます
学会発表では多少堆積物が出てきたようでしたが
当院のタンクでは堆積物は確認できませんでした
4、タンクはその後水で洗い流す→スポンジで内側を掃除するを繰り返します
5、さらにこの後 乾燥→アルコール消毒→乾燥 を繰り返し
完全に乾燥したことを確認したうえで
6、新しい液体窒素を充填します
これでようやく完了です
凍結胚は長期にわたって保存する事になりますので
タンクの清掃は非常に大切なことであると思います
業界内でも何かと話題に上がる凍結環境ですが
もっと簡単に洗えるタンクの開発や
既存のタンクを洗えるキット
そのほか液体窒素の滅菌器など
より安心して凍結環境をご提供できる商品があると
培養士としてはうれしいですね