うめだファティリティークリニック

培養士の山本です

 

 

一般体外受精で胚がダメになってしまうことについて説明したいと思います

ダメになると濁しておりますが

要は細胞の生命活動が停止する、死んでしまう、ということです

 

 

一般体外受精は同じ培養液中に卵子と精子を入れて

自然に近い状態で受精を期待する方法です

 

自然に近いと言っていますが

膣内で射精して卵管膨大部で卵子と精子が出会う際は

卵子に到達する精子はほんの数個と言われている一方で

一般体外受精では数百個数千個ともいえる精子が卵子に到達していると思われるので

顕微授精に比べて自然に近い、という意味合いであるかと思います

 

 

 

少し話がそれましたが…

 

もともと

卵子が体外に出された時から少なからずストレスがあります

卵子もしっかりとした生命力の強そうなものから

膜が不明瞭な、生命力が弱そうなものもあります

生命力が弱い卵子は受精に至るまでに力尽きてしまうことがあります

(弱そうという理由だけで受精の候補から除くことはありません)

 

 

そこから一般体外受精を行うわけですが

 

卵の殻に相当する透明帯が機能しないと

精子が多数入り込んでしまい

死んでしまうという場合があります

 

 

どのような経緯があったのかはわかりませんが

受精操作後に卵子を取り出す際に

透明帯だけになってしまっているという場合もあります

 

 

受精操作後は生存していても

翌日受精確認の際に細胞質が死んでしまっていることもあります

 

 

 

ここまで書くと

「ではすべて顕微授精にした方がいいのではないか」と言えそうですが

顕微授精は実施する前に死んでしまっている場合がある点

針を刺した刺激で死んでしまう点を考慮すると

いずれの方法でも生命力の弱い卵子が受精直前・受精時・受精直後に死んでしまうリスクはあります